スティール部品コンロッド機械加工のトランスファーM/Cの可動率向上
しかし、心配した通り生産を立ち上げると可動率は50%以下であった。 可動率向上対策は、いすゞが不二越に対して仕様を明確にしていなかった為、うまく逃げられ、技術部長が責任を追及される結果となった。そこで技術部長がプロジェクトリーダになり、可動率向上プロジェクトが始まった。しかし、技術部長も、今まで機械メーカー任せで「本図承認する。但し性能は、メーカー責任の事。」で育ってきている為、どんな要素で可動率が悪いかは分析できても、どうすれば良いかの改善案が出せない。結局、土井君何とか成らないか、である。トランスファーM/Cの場合、十数工程をトランスファーバーで搬送する為、一つの工程の切削刃具の交換をする為に全体のトランスファーM/Cが停止してしまう。その為、刃具交換時間や交換頻度がダイレクトに可動率の低下に効いてくる。又、切屑等に起因する不具合にて停止する事もダイレクトに可動率の低下に繋がる、そこで私は、可動率80%以上を達成するための1)刃具交換のクイックチェンジ化、2)刃具の長寿命化と安定化及び定数周期交換制度の導入、3)スティールの切屑処理対策による機械停止の撲滅、の三つの改善項目に分け、計画立案と実行を行った。基本的に不二越の案に対して、以前に私が提案していた内容の具体化であった。
1)刃具交換のクイックチェンジ化
特に自働化の進んだスティール加工用トランスファーマシンでの刃具の交換時間は、可動率低下に大きな影響がある。その為インサートの交換、インサートホルダーのメンテナンス、プリセットによる外段取りを工具課が行い、製造部門の作業者は数秒で刃具交換ができ(ボルトレス)、交換精度は数ミクロン以下というクイックチェンジシステムを自ら考え出し、社内製作し、実用化に成功。これをラフボーリング加工、フェーシング加工、ミーリング加工等に適応させ、高可働率化に大きく寄与させた。これにより作業者の刃具交換に費やす労力と時間が劇的に低減された。
2)刃具の長寿命化と安定化及び定数周期交換制度の導入
ラフボーリング加工については、当時、スティール加工用インサートの材質はカーバイドが主流であった。私は工具メーカーと開発を進めていた技術を生かし、サーメットを採用し長寿命化を図ることにした。当時、サーメットは、チッビングがし易い為、通常は軽切削に使用されていた。そこで、適度の刃先ホーニングを行い、刃先強化を行った。工具メーカーと共同で強度が高いサーメットの開発も行ない導入した。又、型押しポジティブブレーカの採用による切屑処理の向上と、切削抵抗の低減、刃先先端の破損防止としてチッブブレーカー先端の形状の鋭利な部分を丸くし、刃先での切削応力の低減と応力集中の低減を施し、長寿命化と刃具寿命の安定化を達成した。
フェースミル工程にも、ミーリングについてのこれまでの研究開発結果を生かしたサーメットインサートと熱衝撃の低減のためのドライ加工化と切屑処理及び材料冷却用の切削水のかけ方の改良による刃具寿命の安定化を達成した。
サイドミルも、剛性の向上、千鳥刃化、熱衝撃対策の刃具の再設計及びワンタッチ刃具交換の冶具の開発し、導入した。
高速リーミングの低寿命及び加工精度不良対策として切れ刃とガイドマージンの分離した新しい刃具を開発し、加工精度の向上と長寿命化を達成した。
定数周期交換制度、各工程の刃具交換寿命を200,400,800,1000に設定し、その周期に合せて他の作業者加わりも共同で一度に多くの工程の刃具を交換する仕組みを確立。但し、これは上記、刃具寿命の安定化対策を行う事により実現化した。
3)スティールの切屑処理対策による機械停止の撲滅
切屑を細かくし、切削水の圧力を上げ強制的に流してしまう、治具、トランスファーバー等に切屑が引っ掛ったり、蓄積したりしない様、突起物や平坦部を徹底的になくし、開口部を大きくし、切屑の一個流れ化を実施した。又、加工基準の着座不良対策として、冶具と品物の着座部分の汚れない様な形状に変更、位置変更を実施し着座不良による機械停止を撲滅した。
以上の対策を、約三ヶ月で実行し、可動率85%以上の成果を出す事が出来た。
この時代を通じ、現場に全ての現象が表れ、その問題を解決していく中で、現場の喜ぶ顔が見たくて新工法の開発や加工工具の改良を行い、現場の人との信頼関係が向上することや、将来技術への展開が見えてくる事、そして会社全体に良い影響を与えることを習得した。
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